2013年5月28日火曜日

瀬音

年度末にお客様から50箇所ほどの瀬の調査を依頼されました。直轄河川区間の大きな瀬についての状況調査です。

早速現地に赴き、瀬頭から瀬尻までの状況写真、川の流況(流速・澪筋・転石)、河床材料などについて調査しました。














 

しかしながら、ひとつひとつ『瀬の状況』としてまとめるのに、写真や流速などの観測数値だけでは旨く伝えることが難しいことが判りました。
そこで、整理する時のためにと、現地でスケッチしていた絵を少し手直しして平面図として添付することにしました。ポンチ絵ですが鳥瞰的に両岸の状況、転石の位置、流れと速さは→で表現し、澪筋は大きく、流れの方向も直線・曲線で表してみました。

瀬のスケッチ














それらを、一つの瀬毎にA3サイズ1枚にまとめました。

お客様からは、流れの状況が非常にわかりやすいと好評をいただいたとのことでした。

ちょっとした工夫が評価された嬉しさと、手慰みが役にたってなんとも面映い経験でした。

また、50箇所もの瀬を実際に間近にじっくり観察してみて、『急流』に魅せられました。岸辺に座って激しい瀬音を聞きながらじっと流れを見つめていると、一種の無音感覚とともに波しぶきのマイナスイオンで爽快な気分なり、時のたつのを忘れてしまいそうになるほどでした。美空ひばりの歌の『川の流れのように』では川を『滔々と流れる人生』にたとえていますが、こちらは激流ですから『人生は流転』とでもいうような、物事に立ち向かっていくぞ、困難にも負けずにくじけないぞという様な昂ぶる気持ちになりました。

瀬のとりまとめの1例













突然私事で恐縮ですが、3年前から趣味で油絵を描き始めています。1年間に1作品しか描けないので趣味と言えるのかどうかも疑わしいのですが、『瀬音』の感動を忘れないためにと今回調査した瀬の一つをモチーフに描き始めました。

なにしろ、大きさがF100号(1620×1303mm)ですので描くのが大変です。現在、1/3ぐらいの出来上がりですが、県美展に間に合えば出品しようかなと思っています。

これから涼しさが欲しくなる季節になります。皆さんも一日ゆっくり『瀬音』を聞きに行ってみませんか。

制作中の作品
 

















 

文責KO
 

2013年5月21日火曜日

アイラトビカズラ

 山鹿市菊鹿町相良に自生している国天然記念物『アイラトビカズラ』の花をみてきました。本種の保全のために、知り合いの樹木医さん達が頑張っています。

相良のアイラトビカズラの看板
  アイラトビカズラは中国原産の常緑のマメ科植物で、葉は3枚、フジのように棚に巻きついています(専門用語では「常緑藤本、葉は3出羽状」といいます)。
公園内には3つの棚があり、外からみると花はみえませんが、棚の中では7~10cmの暗紅紫色の花がブドウの房のように垂れ下がって咲いていました(この花の付き方を「総状花序」といいます)。前述の樹木医さんの一人(M樹木医)が調査されたところ、300ルクス以下の光の場所じゃないと開花しないそうです。雨天で写真がうまく撮れませんでしたが、花は迫力がありました。香りは決して芳しいとはいえません・・・。
アイラトビカズラの棚

棚の中の様子
アイラトビカズラの花
 樹齢は推定約1000年、この株が国内唯一の自生として1952年に国の特別天然記念物に指定されたそうです。危うく、娘が花をちぎるところでした。そうです、法的に国特別天然記念物には触れてはいけません。
 下に花が落ちていましたので、観察してみました。特徴から、マメ科の花だと納得です。花弁は5個、旗弁の下のおしべは離れ、その他は合生して2体となります(これを「2体雄ずい」といいます)。



花の観察記録

  アイラトビカズラには数々の伝説があるようですが、その一つに「開花すれば必ず国家的な事変が起きる」という説があります。そして近年は、ほぼ毎年5月になると開花しています。
そういえば、毎年のようにどこかで大きな事変が起きているような・・・
伝説は本当なのかもしれませんね。

文責RI


2013年5月17日金曜日

優良事業所表彰

本日、熊本東地区安全運転管理者等協議会様より、平成24年度の優良事業所として表彰状と立派な楯を頂きました。




弊社では26台の車両を業務に活用していますが、社員一同、日頃より高い意識をもって安全運転を心がけ、積極的に事故の未然防止に努めております。

今後とも優良事業所の名に恥じぬよう、安全運転に努めて参ります。


文責 YM

2013年5月15日水曜日

干潟の外来植物

 先週、熊本県立第二高等学校生物部のスパルティナ属に関する研究のお手伝いをしていました。
 第二高校生物部では、昨年度から干潟に生育する外来植物スパルティナ属の駆除に関する研究に取組んでいます。弊社、環境・景観グループは、その研究で群落面積の測量等のお手伝いをしています。

 今回は、スパルティナ属の群落高や草量等の調査に加え、底生動物調査も実施しました。
干潟に足をとられながらも、高校生の皆さんとともに泥だらけになって調査しました。

調査風景


 研究対象となっている外来植物スパルティナ属とは、北米原産の干潟に生育する大型イネ科植物で、特定外来生物スパルティナ・アングリカに極めて近縁な「スパルティナ・アルテルニフロラ」です。外見がヨシ(アシ)に似ているため、「ヒガタアシ」とも呼ばれています。写真のように、干潟にコロニー状に分布しています。

コロニー状に分布する「スパルティナ・アルテルニフロラ」


 現在、「スパルティナ・アルテルニフロラ」は、愛知県と熊本県での定着が確認されており、熊本県では白川(熊本市)・坪井川(熊本市)・大野川(宇城市)で分布が拡大中です。白川の一部では、国土交通省により駆除が行われました。

 研究地の干潟では、チゴガニ等が確認でき、生物の生息孔も多数存在していました。しかし、スパルティナ属のコロニー内部は陸化し、生物の生息孔はほとんど確認できませんでした。

干潟に生息するチゴガニ

















 「スパルティナ・アルテルニフロラ」の侵入・分布拡大は、干潟の草原化を引き起こし、生物の生息環境の消失を招く恐れがあります。

「スパルティナ・アルテルニフロラ」の繁茂状況



 第二高校生物部の研究により、効果的な駆除方法が判明することを期待しています。
駆除のスピードアップのためには特定外来生物への指定も必要と思われますが、継続した対策を実施するためにも行政・河川管理者・地元が連携して駆除を行っていく仕組みづくりが望まれます。

文責 NY

2013年5月7日火曜日

石垣

 石積の種類は、その加工によって異なり、自然のままの石(大玉石・雑石)の「野面石(のづらいし)」。 加工した「間知石(けんちいし)」等があります。

 石垣の積み方も、①横目地が水平となる「布積」、②石を45°傾けて積む「谷積」、③大きさや形の違うものを不規則に積む「乱積」、④田の畔によく見られる「玉石積」などが代表的な施行です。


石垣の積み方
  
 














下の写真は、竹田市の岡城にある大手門の石垣です。周りを「布積」、中央は「谷積」の複合石積みです。 外側は加工した間知石を使っていますが、内側は野面石に見えます。

 おそらく、どうせ大手門の扉部分で隠れてしまうので加工しない石を使ったのでしょうか。昔も今も経費削減に厳しかったのでしょう。 

 しかし、いかにも外側は丁寧に積み中央はちょっといい加減に・・・。あるいは、せっかく「布積」に積んでいた石垣の中央部がへこんで崩れてしまったような・・・。いろいろ想像できて、つい面白くて「パチリ」と撮しました。

 石垣にはそのはかにも、打込み接ぎや算木積み。あるいは石積みの外観によって、亀甲積みや大石の周りに比較的小さな石を積む笑い積みなどがあります。

 そのような目でお城の石垣を見て周るのも楽しいかもしれませんね。

 

大分県竹田市岡城の大手門

















文責 KO